遥の愛人宣言から数時間後。直樹は男子寮の悠斗の部屋にいた。






「へ?」




ドバドバと、飲もうとしたプロテイン入りのスポーツドリンクが床に落ちていく。






「いや、だから蓮さんのことが―――って悠斗、こぼれてるから。」




「おっと。」




直樹が指摘して、ようやく悠斗がスポーツドリンクをテーブルに置き、床を拭く。







「それで、蓮さんのことが好きになったと?」




「そう。」




数分間、沈黙が続いた。




「それって恋か!?」




悠斗が飛び跳ねて驚く。





「だからそう言ってるんだけど…。」




それを聞いた悠斗の顔が見る見るうちに嬉しそうになる。






「いいじゃねぇ〜か!まさか直樹が恋するなんてよ、夢にも思わなかったぜ!」




直樹に抱きついた悠斗は、良かったと何度も言いながら少し涙目になっていた。





「ところで彩華には話したのか?」




「話してないけど?遥もだけど、どうして彩華さんが出てくるんだ?」




首を傾げる直樹。





「(やっぱり気づいてないのか。まあ真里香の好意にも気づかなかったし、昔から鈍かったからな。)」




とりあえず彩華のことは置いておくことにした悠斗。