「悠斗〜、ちょっと休憩しない?」



悠斗の方を見ると、悠斗の姿がなかった。






「まさか、逃げた?」




意外に熱中してしまった自分が恥ずかしくなる直樹。





穴から出て、悠斗が掘った穴から埋めようとすると、穴からロープが出ていた。それは2メートルくらい離れた校旗用のポールに結ばれていた。まさかと思い穴を覗くと、悠斗は自分の2人分の深さまで掘っていた。





「悠斗、飲み物買ってくるよ。」




悠斗の姿に、直樹の目から涙が流れた。それは彼が真剣に取り組む姿にか、こんなことでしか集中できない彼の姿にか、それは、わからない。






その後も掘り続けたが、途中の硬い石に阻まれたので終わり、直樹は悠斗を手伝うことにした。





バケツにロープを結び、悠斗がそれに土を入れて、直樹がそれを引き上げる。





彼も硬い石に苦戦していたが、スコップをホッピングのように使って削っていた。おそらく彼は数分でホッピングの極意を掴んだと思われる。






〈悠斗はホッピングマスターの称号を得た。〉




「直樹くん、なにしてんの?」




振り返ると彩華が立っていた。これまでのことを彩華に話すと。






「そんなことしてたんだ〜。そういえば、最近近くで温泉が出たらしいよ〜。」




「温泉なんて出るんだね〜。」





「もしかしたら、悠斗が掘り当てるかもね〜。」