「ほら、飴あげるから落ち着け。」
蓮がポケットから飴を取り出す。
「い・り・ま・せ・ん!」
……………。
………。
…。
「ん?」
菫が、もう一度服の中に手を入れる。戻すと、その手の中には飴があった。
「着替え終わったときに蓮からもらった飴か。勝利の美酒とはいかないが、ちょうどいい、食べるか。」
飴のナイロンを外す。その瞬間、ゾクッとするような何かの気配を後ろから感じた。
菫が振り返ると、腹ぺこモードのエリーゼが真後ろにいた。
「グガァァァァァ〜!!」
丸呑みにしそうなくらい大きく口を開けて、エリーゼが菫に襲いかかる。
「くっ!?しかたがない…。そら!」
菫が飴を投げる。しかし、急いで投げたので、それは自分のチームの方へ向かって飛んだ。
「まあ落ち着け、直樹。糖分を取れば、頭に栄養が―――」
ピト。
「ん?」
蓮の毛先に飴がついていた。
「なんだ?飴?なんで飴が飛んでく――――」
「グラァァァル〜〜!!」
ガブッと蓮の髪に食いつくエリーゼ。
「え?」
「グルルル…。」
もう食べ物がないと判断したエリーゼは、菫を追いかける。蓮の髪に食いついたまま。
「ふぅ。なんとかなっ―――」
「いだぁぁぁぁぁぁい!??」
急に悲鳴が聞こえて、振り返ると長い髪の先を食べられながら引きずられる蓮がいた。
