「ちょっと油っぽい肉ですけど、うまいですよ。」
ぱくっとカレーを食べながら話す直樹。
「流石は、餌に蜂蜜を食べてるだけはあるな。」
「そんな飼育法があるんですか?何牛ですか?」
「牛?何を言ってるんだ、直樹。牛肉じゃない、それは熊肉だよ。」
最後の一口を入れたとこで、聞かされた真実。
「まふぁか、ふまのうーあんえうか?(まさか、くまのプーたんですか?)」
「何を言っているかわからないが、それは私が倒した『クマ』の肉だよ。体毛が黄色で珍しいクマでな。」
口に入れたカレーを飲み込めない。
「ふぅ、おいしかった。ごちそうさま、やはり和食はいいね。」
そう言って、蓮はトレイを返却口に持って行った。
「ただいま〜。めちゃ並んでて、一苦労だったぜ。……ん?直樹、何泣いてんだよ?」
「あんへほあい…。(なんでもない…。)」
学食でカレーセットを食べる人たちは、プーたんを食べていることを知らない。
教えられない…。特に女子には。
その中でも、珍しくおかわりの列にいる女子には。
うまい、うまいと、プーたんを食べているなんて…。
俺達はプーたんをよってたかって、むさぼり食ってるんだよなんて言えるはずがない…。
「あんえおうあに、うあいんあお…。(なんでこんなに、うまいんだろ…。)」
直樹の涙は止まらなかった。