牛乳と猫スーツ。




「直樹が私を呼んだからよ!」




「直樹くんは、私を呼んだんだよ!」



2人は額をぶつけ、睨み合いながら走る。





「鬱陶(うっとう)しいいんで帰ってもらえませんか?先輩(年増)ども。」



「このガキ…その漢字で、その読みは無理があるわよ!大体、あんたがいるのが一番おかしいでしょ!!」





「そうだよ!美樹ちゃんは実妹(じつまい)でしょ!」




遥と彩華が美樹を挟むように走る。





「実妹がいいんですよ!先輩方には真似できない、私が持って生まれた最強のスキルです!!」




「最低のスキルの間違いよ!結婚できないじゃない!!」



遥が美樹の右側の髪を引っ張る。





「あなたの短い物差しで、結婚を語らないでください。不可能なことをやり遂げてこそ、人間は最高の喜びを感じるんです!」




「ちょっといいこと言ったみたいになってるけど、普通に考えたら無理だからね!」




彩華が美樹の左側の髪を引っ張る。






「ちょ、ちょっと!?髪を両側から引っ張らないでください!お兄ちゃんのために伸ばした大切な髪なんですから!!」





「直樹のため?」





「そうです。お兄ちゃんの秘蔵の本は、ツインテールとポニーテールが大半なんです!残念でしたね、遥先輩!!」




「そんな…バカな。」




今にも魂が抜け出そうな顔をしながらフラフラと走る遥。彩華は自分の髪を触りながら安堵していた。