朝。
二つの選択肢が私の前に立ちはだかる。
――――学校に行く?
  行かない?
選ばなくちゃいけない。
モタモタしてると。
「璃沙、早く学校に行ってちょうだい!あなたがいると自由になれないの」
ほら、こうなる。
「わかったよ。行くよ。」
本当は、行きたくない。
けどここには居たくない
居てはいけない。
私は何処の誰からも、必要とされていないから。

テーブルの上を見る。
…水一滴も用意されていない。
なんだか不思議だよね。
私はここにいるのに、まるでこの家の中にはお母さん一人だけ住んでるみたい。私の存在が、自動的にかき消されてるの。私まるで空気みたい。

私は、冷蔵庫を開けて、前に買っておいた菓子パンをとった。
「あなた、それ昼ごはん?」
「うん…」
「それしか食べないの!?倒れてもあたし知らないから。」
「分かってるよ。」
愛のない、まるで家族とは思えない会話は、いつもお母さんから始まって、お母さんで終わる。
お母さんは、椅子に掛けてあった派手な上着とバックを手にして、部屋をさっさと出て行ってしまった。
取り残された私。
…慣れてるけど。