親が敷いたレールを歩いてきた雅紀。
その道は真っすぐで、目的地は決まっている。

頼りたくても頼ることを許されず、幾重にも分かれた道を自分で選ぶことを余儀なくされ生きてきた私。

そんな正反対の人生を歩んできたからこそ惹かれあった二人。

そんな気がしてならない。

この日合格していたすべり止めの大学へ進むことを望む両親に大学だけは自分の意志で決めたいと、浪人する意思を伝えた。その説得に時間がかかって遅れたことも話してくれた。

太陽みたいに暖かい笑顔。

つなぐだけでほっとする大きな手。

落ち込む私を一瞬にして元気にしてくれる魔法の言葉。

低く、甘く響く声。

弱い私をいつも優しく見守ってくれる瞳。

あなたの優しさに気付かなかった。

自分の辛さをすべて押し殺し、愛してくれていたのに。

どうして私は…。あなたを信じることができなかったのだろう。