慌ただしく過ぎた年末。あっという間に今年も終わりを告げる。

初めて二人で過ごす大晦日。
除夜の鐘が響き夜店が並ぶ参道。

甘いものが嫌いなくせに、なぜか食べたくなるいちごあめを買ってもらい食べながら歩いた。

混雑する境内。待ち切れず少し遠い場所からお賽銭を投げてお願いした。

「どうか無事まあちゃんが大学に合格しますように」


冬休み明け、大学の食堂。

「久し振りだよね。元気にしてた?」

テーブルにオムライスを乗せたトレーを置きながら聞く私に『風邪引いて最悪』さやとまさよが声を揃える。

「試験前なのにやばいよ」そう言うさやの鼻は真赤だ。

「試験と言えば雅紀君、入試目前じゃない? どうなの? いけそう?」

「うーん、微妙かも。あんまり勉強してないみたいだし」

私たちの通う大学に行きたいと志望校を決めたもののあまり勉強に集中出来ていない感じだった。

いつもいろんなことに一生懸命な雅紀。でも大学とか将来やりたいことそんな話題になると話をそらす感じがする。

そんなことをふと考えながら

「まあ なるようになるでしょ」と答えた。

「瀬名が家庭教師でもしてあげたら~。いろいろ優しく教える年上の彼女。ってなんかやらしーね」

そうやってふざけるさやの声に不安な気持ちが少し晴れるような気がした。