「これからどうする? ご飯でも食べながら飲む?」

「いいね! でもその前にデパート寄ってもらっていい? 来週雅紀誕生日なの。だからプレゼント選ぶの付き合って」

「OK」

そういうとさやは、楽しそうに私と腕をからめて歩きはじめた。


平日の夕方。会社帰りのOL、夕食の準備を急ぐ主婦。多くの人で混雑する繁華街のデパート。

人ごみをかきわけアクセサリー売り場へと向かった。

「さやー すごい人! 私死んじゃうよ。 やっぱり人ごみは嫌いだ~」

「がんばれ! こっちこっち」

モデルの並。170cmを超えるすらっと背の高いさやは周りの人よりも頭一つ飛び出している利点を生かして私の手を引き目的のお店まで誘導してくれる。

「やっと着いたよ」

「こんな時思うよ。瀬名ぐらいの身長だと満員電車とかこんな人ごみつらいんだろうなって」

「そうだよ。前見えないし、酸素薄いし」

ははは、豪快に笑いながら人ごみをかきわけてショーケースの前まで連れて行ってくれた。

きれいに磨き上げられたガラスケースの中にはたくさんのブレスレットや指輪が美しくディスプレーされていた。

「どうしよっかなぁ、何がいいと思う?」

「そうだな、無難なのはブレスかネックレスだよね」

「そうだよね。 でも雅紀が身につけてる物って何気にいいやつだったりするから下手なものあげても気に入らなかったりしないかな?」

「雅紀くんは瀬名からのプレゼントならなんだって喜ぶと思うよ。だってやつ、瀬名のこと大好きだから」

さやは冷やかしを含みながらも、親友として私に自信を持たそうとしてくれている。そんな優しい笑顔でそう言った。

「ね! これなんかどう?」

当時はやっていたシルバーアクセサリーのブランド。
上は手が出せないぐらいの値段。
そんな中で適度にごっつくって、ボリュームがあるネックレス。

シンプルなスクエア―のトップ、クロスのモチーフが上品で雅紀にぴったりだと思った。

「いいんじゃない? きっと似合うよ。雅紀くんに」

じゃあこれに決めた!!

私はプレゼント包装を店員さんにお願いした。