病院の一室
窓からは高速道路とその下を流れる川が見渡せる。


翌日すごい騒動になったことを知った。

「瀬名 どうよ~ まだ体痛い?お花とタバコ持ってきたよ~ 瀬名甘いもの嫌がるから~」

「ありがと~ さや来てくれたの?」

「うん。まさよも一緒。瀬名…… ごめんね。結局何も出来ないであんな騒動になっちゃって」

「私もごめんね…。軽はずみに居場所教えちゃってごめんなさい。なんか嫌な予感はしたんだ。だから電話。」

「謝るのは私の方だよ。二人とも迷惑かけちゃって。まさよ 気にしないでよ。さやも、ほんとありがと。浩一と警察にまで行ってくれたんだってね」

「あ~ ほら彼かなりの興奮状態だったから」

最初は面白がって見ていた人の誰かが警察と救急車を呼んでくれたらしい。

意識を失った私と雅紀を救急車に乗せた後、さやは警察に行って事情を説明してくれた。
浩一は呆然としたまま何もはなせなかったそうだ。

「警察の人がさ、一応瀬名にも事情聞きたいらしいけど、心の傷っていうの? そういうのがあるだろうからって。あと被害届を出せば事件扱いになるみたいだけどどうする?」


周りには被害届を出すように勧められた。
ストーカだからまた何をしでかすかわからないって。


でも私は退院後何もなかったことにしようと決めた。

浩一をこれ以上傷つけたくなかった。

ただ自分の気持ちに正直になっただけ。

その表現方法が少し間違っていただけなんだと。



恨む気持ちはどこにもなかった。



いつか誰かと本当の幸せを掴んでほしい。



そう思った。