HPにUPされていた手紙を読んだことを伝えたのは、雅紀から正式に実家で就職するという話を聞かされた時だった。

今まではどんなこともたくさんの時間を掛けて納得するまで話し合ってきたのに、結婚に関しては同じ様には話す事が出来なかった。


「瀬名だって知ってるでしょ。大概みんな2、3年は似た業種の会社に修行に出るもんだって」


久しぶりに電話したさやに聞いても、社会人として立派に頑張るまさよやゆうに聞いても雅紀の選択は珍しいものだって言われた。


「でもそうするんだって」


適当な言い訳も思い浮かばずに投げやりな答えを繰り返した。

雅紀が自分の人生から逃げたような気がして許せない感情もある。

でも向き合うことが出来なかった。

このまま穏便に時間が過ぎて雅紀と一緒にいられればいいと思ったから。

どうしても一緒にいたかったんだ。

押さえこんだ気持ちがあんなにも心の中で腐敗して、何倍にも膨らんで爆発するなんてね。