「さや、久しぶり。元気にしてる?」


「瀬名はどうしてた?」


さえちゃんとの1件以来メール以外友達との連絡をほぼ絶っていたから本当に久しぶりだった。


「お盆に帰るから飲みに行かない?」


「うん、行く!そういえば今朝さやの友達? 咲ちゃんに駅でナンパされたよ」


「咲?」


「うん、急に声掛けられてご飯でもって」


「じゃあ帰った時にみんなでどう?」


あの日以来上手く笑えなくなった私にみんなが気を使い、はれもの扱いするのが嫌で大切な友達とすら疎遠になっていた。

でも本心は違う。

本当は友達の些細な幸せすら妬んで羨むそんな自分を見たくなかったから避けていたんだ。

そんな私を見捨てることなく気にかけて定期的にメールをくれるさや、ゆう、まさよ。

さっき江崎君が言ってくれた『頑張れよ』と同じ温かさを持って見守っていてくれている。

未だに欲しかった言葉を掛けてはくれない母親を恨むことも、もしかしたら雅紀のお母さんやお姉さんを恨むことも間違っているんじゃないか、そんな風にも感じた。

他人の非情さを感じ、肉親の愛を感じることが出来なかったからこそ本当に大切にするべきものを知ったような気がする。

おぼつかない足取りでこの世に存在する為の強さが欲しかった。