久しぶりに雅紀が車じゃなかったので居酒屋へ飲みに繰り出す。
教習所まで私が乗ってきていた自転車に二人乗りで駅前へと向かった。
不安定な運転の雅紀の腰につかまって見上げる横顔をすごく新鮮に感じる。
「なんか高校生のデートみたいだね」
「ちゃんとつかまってないと落ちるよ」
そういうと雅紀はペダルを漕ぐスピードを上げた。
「ゆっくり走ってよ! 怖いー」
何度も二人で通ったことのある道なのに頑丈に守られた車から見る景色とは全く違うものだった。
「じゃあ今日も1日お疲れ様」
サラリーマンで賑わう居酒屋で生ビールのジョッキを思い切り合わせた。
「やっぱり冬でも冷たい生ビールは美味しいね」
口についた泡も気にせずにそう言う私をうれしそうに見つめる雅紀。
「まだ泡ついてる?」
ハンカチで口元をぬぐおうとすると一段とその眼が優しくなった。
「なんかこんな瀬名を見るの久しぶりだからさ」
「???」
「またこれからたくさん楽しい思い出を作ろうな」
最後の言葉を聞いて言おうとしていたことがわかった気がした。
ずっと笑えなくなっていたのを誰よりも心配していてくれたんだ。
もう泣かない。また頑張って笑顔を見せなきゃ。
これ以上雅紀を悲しませたくないと思った。
教習所まで私が乗ってきていた自転車に二人乗りで駅前へと向かった。
不安定な運転の雅紀の腰につかまって見上げる横顔をすごく新鮮に感じる。
「なんか高校生のデートみたいだね」
「ちゃんとつかまってないと落ちるよ」
そういうと雅紀はペダルを漕ぐスピードを上げた。
「ゆっくり走ってよ! 怖いー」
何度も二人で通ったことのある道なのに頑丈に守られた車から見る景色とは全く違うものだった。
「じゃあ今日も1日お疲れ様」
サラリーマンで賑わう居酒屋で生ビールのジョッキを思い切り合わせた。
「やっぱり冬でも冷たい生ビールは美味しいね」
口についた泡も気にせずにそう言う私をうれしそうに見つめる雅紀。
「まだ泡ついてる?」
ハンカチで口元をぬぐおうとすると一段とその眼が優しくなった。
「なんかこんな瀬名を見るの久しぶりだからさ」
「???」
「またこれからたくさん楽しい思い出を作ろうな」
最後の言葉を聞いて言おうとしていたことがわかった気がした。
ずっと笑えなくなっていたのを誰よりも心配していてくれたんだ。
もう泣かない。また頑張って笑顔を見せなきゃ。
これ以上雅紀を悲しませたくないと思った。
