あっという間に12月を迎え雅紀は試験期間。

私は軌道に乗り始めた心の相談室と名付けたHPに励まされるように少しづつ自分を取り戻しつつあった。


そんな毎日を過ごし、二人で過ごす4度目のクリスマスがやってきた。

年々華やかになるクリスマスイルミネーションに彩られる街を教会へと向かう。

今年はさすがに派手に祝う気分にはなれなかった私たちは互いにキリスト系の学校に通っていたこともあってミサに参加することを思いついた。

別に洗礼をうけている敬虔な信者でもなく、キリスト教を信じている訳でもない。

ただそうしたかっただけ。

港町の高台にある古い教会へと続く道はキャンドルで彩られオレンジ色の温かい光に満ちている。

一歩礼拝堂の中へ足を踏み入れると目の前には十字架を背負ったキリストの像とそれを守るようなマリア像が目に入る。

時間になり思い扉が閉められた後すぐにパイプオルガンから荘厳な讃美歌が流れ始めた。

学生時代に校内で行われていたクリスマスミサはただだるいだけのものでしかなかったのに。

でも今日は神父の話も参加者が奏でる讃美歌もすべてを神聖な気持ちで受け止めることが出来た。