3人で真っ白な浜辺に座り込んでの砂遊び。

小さな山を波にさらわれる度に作り直した。

波打ち際、足元に打ち寄せる白い泡を手を繋ぎながら飛び越えようとする。

そんな風景を何度も何度も夢で見た。


それは何万Kmも離れた遙か遠い場所で起こったうねりが、日本でピークを迎え打ち寄せては消えていく波と同じような。

タイミングを逃すと二度と手にはできないもの。


深い海の底には太陽の光も届かない。

どこまでも沈んで行くその先にはだた暗闇だけが存在する。

悲しみと怒り、そして絶望しか感じることが出来なかった。

そんな世界で知ったのは自分が孤独だということ。



ねぇ、雅紀。

全く先が見えない暗闇の中、ずっと傍にいてくれた。

あなたが唯一の道標だったよ。

息もできなかった私がこうして生きていられるのはあなたがいたから。

だからもう一度太陽に向かって歩く勇気が持てたんだ。

失った笑顔を取り戻すために。