次の日も、その次の日もなぜかもずく酢食べたい病は収まらず食べ続けた。

体のだるさも微熱も変わらずに続く。

変だな…。そう思いながら今月の残りの予定をスケジュール帳で確認しようと思いおもむろに開いた。

ふと目に入るハートマーク。

一応毎月女の子の日が始まった日付に印をつけている。

1週間遅れてる? 改めて数えるともう10日遅れていた。

でも私にはそれほどめずらしいことじゃなかったから気にもしていなかった。

強い胸や下腹部の張りを数か月に一度見られる前兆だと思っていた。



それから4日後、痛いほどに張る胸に違和感を感じる。

外出前にシャワーを浴びた後、バスタオル越しに手に伝わる感触はいつもの自分の身体ではなかった。

お世辞にも大きいとは言えなかった胸が成長期のように張って痛いぐらいで、下腹部もいつもとは明らかに違う。

ふと、もしかして? と頭にかすめたが大学へ行く時間が迫っていたのであえて考えず家を飛び出した。



夕食前に家に帰ると座っていても熟睡できそうな眠気にベットでうとうとしていた。


「瀬名! ちょっと下に降りて来て手伝って」


そんな母親の声にだるい体を引きずるようにして階段を降りる。


ちょうど調理中の揚げ物の匂いが鼻をついた。


その瞬間我慢できない吐き気に襲われ、階段横のトイレに駆け込んだ。



”やっぱりそうなのかも…… ”

洗面台の鏡には青ざめた自分が映っている。

とりあえず落ち着こう、そう言い聞かせ何もなかったようにキッチンへと向かった。