次の日、目が覚めると体がだるくて仕方がない。

毎朝の目覚めの煙草を吸う気にもならず、食欲も全くなかった。

昨日の雨で風邪でも引いたかな…。

そう思いながら重い体へバイトへと向かった。



帰り道、母親に頼まれていた買い物を済ます為に駅前のスーパーへ。

たくさんの商品棚が並ぶ中で ”豆腐、卵 ”忘れないように頭の中で繰り返しながら店内を歩きまわる。

”あった! 豆腐 ”手に取りかごに入れる。

なぜかその隣にあるプリンのような容器に入った3個セットのもずく酢。

無性に食べたくなってそれもかごに入れた。




「ただいまー」


そう言ってリビングへ向かい買い物袋を母親に手渡す。


「こんなの頼んでないわよ」


「あっそれね。風邪引いたみたいでなんかさっぱりしたものが食べたかったら」


「変な子、風邪なら薬飲みなさいよ」


「寝たら治るって!」


そう答えながら自分の部屋に駆け上がった。

床にぺたりと座り、TVを点けると待ち切れずに小さなもずく酢のカップのフイルムをはがしお箸も使わずに一気に流し込むように食べる。


「おいしー」

止まらなくなって3個パックすべてを食べてしまった。

それなのにいざ夕食となると全く食欲が湧かずにほとんど手をつけず部屋に引き揚げた。


10時に雅紀からの電話。


「なんか風邪ひいちゃったみたいなんだ」


「昨日雨に濡れたからかな? 今日は早く寝た方がいいよ」


「うん、体がだるくていくらでも眠れる感じ」


「じゃあゆっくり休んで。おやすみ、愛してるよ」


「ありがとう」


電話を切るとすぐに寝てしまった。