大きな土鍋を中央に生春巻き、エビマヨ、雅紀リクエストのから揚げ、そしてみんなが持ち寄ったお酒がテーブルに並ぶ。

さや、まさよ、ゆう、西田君、雅紀と5人が勢ぞろいした。

「では、まさよの内定を祝って! 乾杯!!」

まだまだ食べ盛りの西田君と雅紀は鍋が煮えるのを待ちきれず、サイドメニューにがっつく。

「これ全部瀬名さんが作ったんですか? マジ美味しいです」

「だろー。こう見えて料理上手なんだよ。から揚げ最高」

「こう見えてってどういうことよー」


そんな私の声にも返事はなく食い気に走る二人は無視して、お姉さまの女子軍団はすでに会話に夢中だった。

社会人1年先輩のゆうに「この会社でよかったのかな?」不安そうに相談するまさよ。

さやと私は相変わらずのんきだ。

「なんか4年って感じしないよね」

「ほんとそうだよね、さやはどうするの? やっぱり今のバイト先続けるの?」

「そうだね…。多分そうなると思う。他にやりたい仕事もないし。瀬名はやっぱり院目指すの?」

「アメリカで直に体験してやっぱりこれかなって思ったから」

ほどなく目の前で湯気を吹きあげる鍋に慌てて立ち上がり、ふたに手を掛けた。

「あつ!!」

飛びのくように手を離すと、雅紀があきれ顔で代わりに火を弱めてふきんを使って鍋を開く。

『瀬名! 大丈夫?』ゆうがおしぼりを渡してくれる。

「うん、全然平気。さあみなさん召し上がれ」

照れ笑いを浮かべる私を見ながらみんな ”いただきまーす”と箸を運んだ。

「おいしいねー」とたんに盛り上がる中、隣に座っていた雅紀がすっと立ち上がりキッチンへと向かう。

戻ってきた手にはタオルに包んだ氷。

「まったく天然なんだから、冷やした方がいいよ」

氷の入ったグラスを握っていた私の手に乗せてくれた。

「ありがと…」そんな私の髪をくしゃっと撫でる。

「ちょっとそこ、二人の世界に入らない!」

楽しい宴の時間が過ぎて行った。