愛を餌に罪は育つ

秋の言葉が嬉しくて、頬が緩んでしまう。


その顔を見られるのが恥ずかしくて、私は顔を上げられなかった。



『いつまで俺の秘書をするんだ?』

「どういう意味?」



急にコロッと話が変わり、首を捻って秋の横顔を見た。



『父に付き合ってる女性がいるなら紹介しろと言われてる。いないなら見合いでもしていい加減結婚しろ、だそうだ』

「お見合い!?」



確かにそうだよね――。


結婚するにはちょうどいい年齢かもしれない。


でもお見合いだなんて――。



『今の状態で紹介してもいいが、美咲は気まずいんじゃないかと思って』

「そう、だね――」



私が辞めたら知らない女の人が秋の秘書に就くって事だよね?


そんなの嫌――。


でもお見合いされるのも嫌――。


これって単なる我が儘だよね。


それとも欲張りって言うのかな?


何にしても私ってやっぱりどうしようもない女だ。