愛を餌に罪は育つ

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木々は緑から茶へ衣装がえを始めている。


風は冷たい空気を送り込み始め、私の体の外気に当たっている部分は時折微かに震える。


そんな私に気付くと、秋はそっと腰を抱いて隙間がない程近くに居てくれる。



「綺麗だね」

『あぁ』



こんなに綺麗に夜空と夜景を見渡せる場所あったんだ。


都会の喧騒や夜空を邪魔する高い建物や電線もない穏やかな場所。


少しだけ寒いけど、端から見れば私たちを含め周りにいるカップルたちはみんな温かそうに見えるだろう。



「ねぇ」

『ん?』

「どうしてこんな場所知ってるの?」



気まずそうに笑う秋を見て私は笑ってギュッとくっついた。



「ちょっと意地悪言っただけ。今は私だけでしょ?」

『あぁ、勿論だよ』

「だったらいいの。凄く温かい――この温もりがこれからもずっと私だけのものならいいな――」



秋は後ろから私を抱きしめ、ほんの少し――私が心地いいと思う程の力を腕に込めてくれた。


秋の胸に寄っ掛かる様に頭を預けると、落ち着く音がトクットクッっと頭に響いてきた。