愛を餌に罪は育つ

この日を最後に日記は書かれていなかった。


翔太君は朝陽の浮気相手が妊娠してた事知らなかったんじゃないの?


あんなに驚いてたのに――。


なんで知らないふりなんかしたの?


私が記憶をなくしてるから知らないふりをした方が賢明だと思ったの?


翔太君はいつも優しくて面倒見がよくて、さりげなく気を使ってくれて――だけど、勝手に知った気になっているだけで、そんなのきっとほんの僅かな一面でしかないのかもしれない。



『居たのか』



突然の声に驚き、リビングのドアに目を向けると秋が立っていた。


心臓が止まるかと思った。



『返事がないからてっきり出掛けているのかと思った』

「ご、ごめん。PCに熱中しちゃって。それよりゴルフはどうだった?」

『退屈だった』



秋が冷蔵庫を開けている隙に、PCからUSBメモリを引き抜き急いでPCを閉じた。


今見た事は秋には話せない。


とにかく翔太君と話をしよう。