ニコニコ笑いながらテーブルの上にホットコーヒーを置いてくれた。


ソーサーの上にはミルク二つにシュガーが一本のせてある。



『飲み物の好みも変わっちゃったかな?』

「ううん、たぶん変わってないと思う。ありがとう」



コーヒーにミルクとシュガーを混ぜ口に入れると、安心するような懐かしいような味が口の中に広がった。


こんな気持ちになるって事は、私はミルク多めのコーヒーが好きだったんだろうと思う。


こんなに細かいところまで私の事を知っている朝陽と私は本当に付き合っていたのかもしれない。


正直なところ、話だけでは半信半疑だった。



「ねぇ、PCあるかな?」

『あるけど何か調べもの?』

「鞄の中にUSBメモリが入ってたから中身を確認したいの」

『それなら寝室にノートPCがあるからそれを使って』



鞄からUSBメモリを取り出し、寝室へ向かった。


鞄を返してもらった日、あさっていて変な違和感を感じた。


その日は分からなかったけれど、次の日先生のポケットに入っているものを見てやっとその違和感に気付くことができた。


携帯電話が入っていない事に――――。


後日返してもらった事件当時来ていた衣服のポケットにも携帯電話は入っていなかったし、笠原さんに聞いてみたが焼けた家の中にも外にもそれらしいものはなかったそうだ。


犯人が持ち帰ったかもしれないということで、それは山田さんにも報告された。