愛を餌に罪は育つ

掌よりも少し大きめの箱を机上に置かれ、私は秋の顔を見上げ首を傾げた。



「またお菓子を貰ったんですか?」

『いいや、君が好きそうだと思って買ってきたんだ。ここのチョコレートは今女性に人気だそうだ』

「――お店に足を運ばれて、副社長がご自分で買われたんですか?」

『あぁ』



女性に人気という事はお店は女性ばかりだろうに、そんな中わざわざ秋さんが私の為に買ってきてくれた事が嬉しかった。


いったいどんな顔をしてお店に入ったんだろう。


秋さんでも少しは恥ずかしいとか思ったのかな?



『何を笑っているんだ?』

「嬉しくてつい――食べるのが勿体無いです」

『そんなに喜んでもらえるとは思っていなかった。だが、食べてもらえた方が私は嬉しいよ』



秋の笑顔を見るだけで不安が不思議と薄れていく。


この人が傍にいてくれるんだって思うと強くなれる。



「ありがとうございます。後でゆっくり頂きます」

『あぁ』



副社長室に入っていく秋の背中を緩みきった顔で私は見詰めていた。


朝陽に会う前に食べよう。


元気がもらえる様な気がするから。


そんな子供じみた考えに、思わず苦笑いになってしまった。


だけどそれだけ秋の存在は、私の中でとてつもなく大きくなっているんだと実感した。