愛を餌に罪は育つ

秘書室に戻り自席に座るとドッと疲れが押し寄せてきた。


朝陽にほんの少し会っただけなのにこんなに疲れるなんて――。


夜は気合い入れて行かないと、朝陽にペースを持っていかれそうだ。


とにかく今は甘いものでも食べて気持ちを落ち着かせよう。


抽斗からまだ開封していないクッキーを取り出した。


そのクッキーを口の中に入れると紅茶の風味が口の中で広がった。


秋宛のお菓子はどれも有名店の物ばかりで、並ばなければ買えない様な物ばかり。


気軽に買って食べられるようなお菓子じゃないからか、なんだか美味しさが倍増している様な気がする。



『本当に甘いものが好きだな』

「ッッ!?」



慌てて振り返ると、そこには可笑しそうに笑っている秋がいた。



「ノックしッッしました!?」

『勿論』



ノックの音にも気づかないほどお菓子に夢中だったのか、それとも酷く気分が沈んでいるのか、自分でもよく分からなかった。


というか、今までは秋に対して敬語で話す事が当たり前だったけど、今は普段は敬語を使わない為、敬語を使うと少しくすぐったい感じがする。