梓の家にお邪魔してから数日が過ぎた。
今でも梓とはお昼を一緒に食べるし、普通に連絡も取り合っている。
ただ、気持ちだけは今まで通りというわけにはいかない。
もしも今でも梓が朝陽の事を想っているなら私の存在は邪魔なはず。
ただまだ梓が朝陽の浮気相手だと決まったわけじゃない。
そう思う事で、どうしようもない自分に一つでも踏ん切りを付けさせようとしているのかもしれない。
キッチンで食器を洗っていると、突然背中に温もりを感じ、耳たぶに柔らかい感触がした。
『悩み事?』
「悩み事なんてないよ」
『美咲は嘘が下手だね。さっきから水ばっかり流れてて食器を洗う手が動いてないよ』
朝陽が口を開くたびに息が耳に触れる。
くすぐったかったが、そこにトキメキなんていう甘い感情はなかった。
「朝陽」
『んー?』
甘えたような声で甘えたように抱きついている朝陽に、私はずっと考えていた事を口にした。
考えていたけど、悩んでいたけどもう決めた事を――。
「私、ここを出て一人暮らしする」
今でも梓とはお昼を一緒に食べるし、普通に連絡も取り合っている。
ただ、気持ちだけは今まで通りというわけにはいかない。
もしも今でも梓が朝陽の事を想っているなら私の存在は邪魔なはず。
ただまだ梓が朝陽の浮気相手だと決まったわけじゃない。
そう思う事で、どうしようもない自分に一つでも踏ん切りを付けさせようとしているのかもしれない。
キッチンで食器を洗っていると、突然背中に温もりを感じ、耳たぶに柔らかい感触がした。
『悩み事?』
「悩み事なんてないよ」
『美咲は嘘が下手だね。さっきから水ばっかり流れてて食器を洗う手が動いてないよ』
朝陽が口を開くたびに息が耳に触れる。
くすぐったかったが、そこにトキメキなんていう甘い感情はなかった。
「朝陽」
『んー?』
甘えたような声で甘えたように抱きついている朝陽に、私はずっと考えていた事を口にした。
考えていたけど、悩んでいたけどもう決めた事を――。
「私、ここを出て一人暮らしする」


