会議室のような造りの小さな部屋に案内され、笠原さんに促されるまま私は席に着いた。
「今日は急なご連絡にも関わらずお時間を割いて頂いてありがとうございます」
「いえ、お元気そうで良かったです。今日はどうなさいました?」
「実は――事件の日の事を少し思い出したんです」
笠原さんの表情は穏やかなものから真剣な表情へと一変した。
そして机上に置いていたノートを開くと、胸ポケットに入れていたボールペンを取りだした。
「ほんの少しだけなんですけど、辺り一面真っ赤で――人が――倒れてました」
「誰が倒れていたのか分かりますか?」
「――すみません、分からないです。みんな血だらけだったんです」
「みんな?」
「確か――三人倒れていたと思います」
手の震えを静めようと握りしめ力を込めるが一向におさまろうとしない。
口を開く度、あの時頭に流れてきた映像がより鮮明に映し出される。
「大野さん――」
「ッッすみ、ません」
「焦らなくていいですから、ゆっくりでいいんです」
温もりを感じさせる声に、目に溜まった涙が零れ落ちる。
仕事だからかもしれないけど、笠原さんは心から心配してくれているようで嬉しかった。
「今日は急なご連絡にも関わらずお時間を割いて頂いてありがとうございます」
「いえ、お元気そうで良かったです。今日はどうなさいました?」
「実は――事件の日の事を少し思い出したんです」
笠原さんの表情は穏やかなものから真剣な表情へと一変した。
そして机上に置いていたノートを開くと、胸ポケットに入れていたボールペンを取りだした。
「ほんの少しだけなんですけど、辺り一面真っ赤で――人が――倒れてました」
「誰が倒れていたのか分かりますか?」
「――すみません、分からないです。みんな血だらけだったんです」
「みんな?」
「確か――三人倒れていたと思います」
手の震えを静めようと握りしめ力を込めるが一向におさまろうとしない。
口を開く度、あの時頭に流れてきた映像がより鮮明に映し出される。
「大野さん――」
「ッッすみ、ません」
「焦らなくていいですから、ゆっくりでいいんです」
温もりを感じさせる声に、目に溜まった涙が零れ落ちる。
仕事だからかもしれないけど、笠原さんは心から心配してくれているようで嬉しかった。


