給湯室の恋の罠

「香澄ちゃん、俺の事何とも思っていなさそうだったから、びっくりして……」

「そりゃ、“調子いい”とか“軽い”とか思われたくなくて、気持ち隠していましたから……」

「そうだったの?俺は、香澄ちゃんが俺の事を好きになってくれて嬉しいよ。だから、そんな事は思わない」


福本さんはそう言って、私をふわっと抱きしめる。

そして、私のおでこにコツンと自分のおでこを当て


「ねぇ、香澄ちゃん。俺と付き合って……」


福本さんの吐息がかかる距離。

私は福本さんにドキドキしながら


「はい」


と答える。


私の答えを聞いた福本さんは、私との距離を縮め

私は自然と目を閉じる。

そして、福本さんは私の唇に優しく触れる。


「俺、ずっとこんな風に香澄ちゃんに触れたかった……」


耳元でそう囁いた福本さんは、そのまま私の耳元にキスをする――…





あの後、福本さんが買ってきてくれたケーキを食べ、福本さんに待ってもらい、仕事を終わらす。

そして、手を繋ぎ帰る私達。


「ねぇ、この後どうする?」

「もう少し一緒に居たいです」


“ずっと一緒に居たい”

そう思っていたから。