会議室のナイショの関係

「紗和……」


どう解釈をしたのかわからないけど、まーくんは私をぎゅっと抱きしめる。


「今日さ、早く仕事が終われそうなんだ」


まーくんが私の顔を見上げる。


「だから、ご飯食べに行こう」

「えっ?」


思いもしなかった事を言われ、私は驚く。


「今日、仕事が早く終われるかわからなかったし、だから、前もって言えなかったんだけど……。今日、紗和、誕生日だろ」

「……まーくん、私の誕生日、知ってたの?」

「当たり前だろ」


まーくんは優しく微笑む。


「直接言いたかったから遅くなったけど……。紗和、誕生日おめでとう」

「ありがとう。すごく嬉しい」


まーくんに誕生日を教えていないし、知らないと思っていた。

それに、まーくんは忙しいから、今日も一緒に過ごせないと思っていた。

だけど、まーくんに「おめでとう」と言って貰えて、今日を一緒に過ごせる事になり、私は嬉しくて、ぽかぽかした気持ちになる。


「じゃぁ、仕事が終わったら連絡するな」


そう言いながら立ち上がり、私のおでこに軽くキスをする。


「一緒に出るとまずいから、紗和、先に行きな」

「うん」


私はお盆を持ち、会議室を出た。