会議室のナイショの関係

「……まーくんが機嫌悪そうだから。どうしたらいいのかなって……」


まーくんは私が話すまで聞いてくるだろう。

そう思い、私は素直に答える。

その答えにまーくんは優しく笑い


「紗和が側に居てくれたら、それでいいよ」


そう言って、私の腕を引っ張り優しく抱きしめる。


「なぁ、紗和。誰に誘われた?」


そして、座ったまま私を抱きしめているまーくんは、私を見上げ、じっと見つめる。


「えっ?」

「誰?」


そういえば、まーくんは結構ヤキモチを焼く。

私の部署の先輩の福本さんや、まーくんの秘書の倉木さんにも妬いたくらい。

全くヤキモチを焼いてくれないより、こんな風に焼いてくれるのは嬉しいのだけど。


言っても大丈夫なのかな?


名前を言った所で、まーくんがその相手に何かをするわけではないけども。

それに、このまま相手の名前を言わずに黙っていたら、まーくんの機嫌が余計に悪くなりそうだ。

その方が嫌だし……


「……製造部の中西さん」

「あぁ、アイツね」


チッと舌打ちをし、そう言うまーくんは、やっぱり機嫌が悪い。


「まーくん、私、ちゃんと断ったよ」


『また今度』とは言われたけど、そんなのはきっと社交辞令。

例え、誘われても二人きりなら行くつもりもない。

だって、そんなのがまーくんに知られたら、まーくんはきっと嫌な気持ちになると思う。

もしそれが反対の立場で、まーくんが女の人と二人きりで会っていたら。

何もないと信じているけど、嫌だもん。


私を見つめるまーくんを見つめ返す。