会議室のナイショの関係

「い、いえ。失礼します」


まーくんに話し掛けられ、香澄は緊張した感じで頭を下げる。

そして、頭を上げ、会議室のドアノブに手を掛けた時。


「あっ」


何かを思い出したのか、香澄は振り返る。


「あの……。私なんかが社長にこんな事を言うのはおかしいと思うのですが……。花本さん、さっき他の部署の男性社員に、食事に誘われていましたよ」


躊躇いながらも、さっきの出来事をまーくんに話す。


「ちょっと、香澄!」


何で、まーくんにその事を!?

断ったし、話すつもりなんて無かったのに。


「誘われたの?」


香澄がいるから口調は優しいけど、でも、まーくんの機嫌がすごく悪くなっていく。

私の方を見ているから、機嫌の悪い表情は香澄からは見えないけど。


「……うん。でも、断ったよ?」


まーくんの機嫌が悪いから、私はおどおどしてしまう。


「ありがとう」


私の言葉を聞いたまーくんは振り返り、香澄に優しく言う。


「いえ……。では、失礼します」


香澄は再び頭を下げ、私を見てにこっと笑って会議室を出て行った。