会議室のナイショの関係

「あれは、絶対、紗和に気があるな」

「えっ?」


よく話し掛けられるとは思っていたけど。

中西さんが、私に気があるなんて思ってもいなかったし、香澄の考え過ぎなだけだと思うけど。


「紗和も“彼氏がいる”って、はっきり言いなよ」

「う、うん」


中西さんに関しては、聞かれてもないのに自分からわざわざ“彼氏がいます”なんて言うのもヘンだし、何も言っていない。


というより、まーくんと付き合うようになってから、“彼氏がいる”なんて会社では言っていないけど。

だって、“いる”って言うと、「どんな人?」「会社の人?」なんて聞かれそうだから。

社内恋愛禁止ってわけでもないし、社内恋愛している先輩だっている。

だけど、相手が相手だし、さすがに言えない。

例え、“いる”という事は言ったとして、色々誤魔化す事なんて私には出来ない。

誤魔化そうとしても、何かボロが出そうで。

それで、まーくんに迷惑を掛けたくない。

だから、例え聞かれても、私は聞かれても“彼氏はいない”という事にしていた。





会議室の後片付けも終わり、私と香澄はお盆を持って会議室を出ようとする。


コンコン――


ノックの音がしたかと思うと、「よかった。まだ居た」と言いながら、まーくんがホッとした表情で会議室に入って来た。


「私、先に行くね」


香澄が私に向かってそう言うと


「ごめんね」


まーくんは香澄に謝る。