「ただいま」

「あっ、おかえり」


私の声に気付き、お母さんは顔を上げる。


「真人くん、いらっしゃい」


そして、まーくんを見て笑顔になる。


「お邪魔します」


まーくんは、リビングの入口で挨拶をする。

その表情は、さっきまでと違い緊張した表情になっていた。


「ふふっ。そんなかしこまらなくてもいいのよ。ソファに座って待っててね」

「はい」


お母さんの言葉に、私とまーくんはソファへ移動する。


こういう時って、私はどうしたらいいんだろう?

お母さんの手伝い?

でも、そうすると、まーくんを一人にする事になるし……


「はい、お茶どうぞ」


どうしたらいいのか考えていると、お母さんが温かいお茶を持ってくる。


「ありがとうございます。あの……、お口に合えば嬉しいのですか……」


家に帰る前に買った和菓子をまーくんはお母さんに渡す。

ケーキにしようかとも思ったのだけど、今日はクリスマス。

きっとケーキはお母さんが用意しているだろう。

そう思い、和菓子にした。


「そんな気を遣わなくていいのに。真人くん、ありがとう」


お母さんはまーくんから紙袋を受け取る。


「あっ、ここの大福や羊羹、美味しいのよね」


お母さんは、洋菓子よりも和菓子が好き。

だから、お母さんはすごく嬉しそうにしていた。


「ふふっ。本当にありがとう」


そんな嬉しそうなお母さんを見て、まーくんは少しホッとしていた。