私の地元の駅に着き、まーくんと手を繋ぎ家に向かう。

さっきまで何ともなかったのだけど……


「何か緊張してきた」


私はボソッと呟く。


まーくんはお兄ちゃんの友達。

だから、家にも来た事あるし、何度もお母さん達にも会っている。

今の今まで、まーくんが両親と会う事も“何か恥ずかしい”程度だったのだけど、家に近付くにつれ、私は急に緊張してきた。


「俺も、緊張しているよ」


そう言うまーくんをチラッと盗み見する。

だけど、まーくんは全く緊張しているように見えない。


「嘘だ」

「本当だよ」


そんな事を言っていたら、いつの間にか家の前に着いた。

私は、家の前で大きく息を吸い、ドアを開ける。


「ただいまー」


玄関から声を掛けるが返事はない。

電気は点いているから、誰か居るはずだけど。

とりあえず、私はまーくんをリビングに案内する。

リビングに入り、キッチンの方に視線を向けると、お母さんが慌しく動いていた。