会議室のナイショの関係

香澄が出て行き、会議室にはまーくんと二人きり。

さっき、“まーくんの機嫌が悪そうだった”と聞いた私は、どうしたらいいのかわからず俯く。


「紗和……」


まーくんが私に近付いてくるのがわかったけど、顔を上げられない。

だって、まーくんが怒っていた理由がわからないから。

私が何かしたのかもしれない。

でも、理由がわからないから謝るにしても、何に対して謝ったらいいのかわからない。


「紗和」


まーくんは私のすぐ側まで来ている。


どうしたらいいんだろう。


なかなか顔を上げない私に


「さぁちゃん、顔を上げて?」


昔の呼び名で子供をあやすかの様に、まーくんは優しく声を掛ける。

だから、私は恐る恐るだけど顔を上げる。

まーくんの顔を見ると、何故かまーくんは緊張しているような表情をしていた。


「社長?」

「今は社長じゃない」


真剣な目をして言うまーくん。

いつもと違う雰囲気のまーくんに私はドキドキする。