野坂が近づいてきて 私の頬の傷に触れた。 『痛い?』 私はふるふると 首を横に振る。 『嘘。 痛くないはずがない。』 『痛くない。 私が悪いから、 慎司は悪くない。』 呪文のように “慎司は悪くない”と 言う私に神田は言った。 『お前も頭おかしんじゃね? いつか殺されるぞ。』