ふと桜を見ると なんだかボーッとしていた。 『桜!どうした? ボーッとして!』 『ん?。なんでもない! ねぇ、直人?』 『ん?』 『手、見せて?』 傷のことか…。 『あー…はい。』 あの時ナイフを握った手。 傷は塞がったけど… 『痕残っちゃったね…。』 別にそんなこと おれにとっては どうでも良かった。 『別に俺は男だし。 桜に痕が残るような 傷なくて良かったじゃん。』 『……ありがと。』 そう言って桜は笑った。