隼人と郁人の実家は、名古屋市内中心部に位置する、閑静な住宅街にあった。 

「土地が狭いから」というものの三階建ての瀟洒な建物だった。 


ガレージには、お父さんの所有するシルバーのベンツとお母さんの所有するネイビーのBMWが二台並んでいた。


我が家が純日本風の木造建築だったから、隼人の実家には憧れを抱いた。 


一階が広々としたLDKに和室。 

二階が両親の寝室と書斎。

三階が隼人と郁人のそれぞれの部屋があった。 


とにかく広くて大きな家だったから初めて訪れた日の感動は、数年経った今でも鮮明に記憶している。