彼と彼女と彼の事情



私たちも長い年月を取り戻すかのように、二人の時間を大切に過ごしている。 

「奈緒、いつか俺たちの可愛い赤ちゃんを産んでくれよな。
男の子でもいいけど、女の子だったら奈緒に似た、とびっきり可愛い子がいいなぁ。
あっ、でも女の子は思春期になったら口聞いてくれなそうだな。――なぁ、奈緒は小さい頃どんな子だった?」


私の肩に手を回した郁人は、嬉しそうに笑顔を向けてくる。


日差しの差し込む明るいリビングの傍らで、私は優しく微笑み返す。 




出会ってから5年半―― 

郁人は、いつもそばにいてずっと私を見守ってくれた。

その優しさに甘え、郁人を苦しめたこともある。


でも、どれだけ郁人に救われたことか……。 


ずいぶん遠回りしてしまったけれど、もう離れないからね。