彼と彼女と彼の事情



隼人が留守ということで、その日は郁人も機嫌が良かった。


郁人から言わせると、兄である隼人は、かなり几帳面な男らしかった。


『ちゃんと電気を消せ』
『バスタオルは広げて干せ』
『流しに食器をためるな』
『風呂の湯を出しっぱなしにするな』
…………………………………… 


一番驚いたのが、ゴミの捨て方。


ティッシュやお菓子の食べかすをそのままゴミ箱に捨てるのを極端に嫌った。


必ず、ビニル袋に入れないと気が済まないらしい。


“おまえは、嫁か!”と、郁人が突っ込みたくなるほど、隼人は口煩かったようだ。


でも、郁人の話を聞いていると、なんだか可笑しくて、その時は大爆笑だった。