躊躇いながらも、それに応えるように私も右手を差し出した。 


固く握られた掌に、隼人の温かさを感じた。 



「奈緒に出会えて本当によかった。感謝してる。今までありがとうな。絶対に、幸せになれよ!」


「は…やと……」


「奈緒はさぁ、俺が初めて真剣に好きになった人だった。奈緒と過ごした時間、最高に幸せだったよ!」



今度は、ポロポロ…ポロポロ…と、さっきとは違う涙が流れだした。



笑顔で話す隼人の顔をしっかり目に焼き付けようと、必死だった。



―――…決して忘れないように。



なんとなく、今日で最後のような気がした。


隼人と会うことは。