彼と彼女と彼の事情

なんだか、悔しくて悔しくて……


私の目からは、悲しみとは違った大粒の涙が零れた。
 

「私は隼人のこと、本当に好きだったよ。でも、突然、別れを切り出されて……私の中ではなかなか消化しきれない出来事だった。

それが今日、隼人も悩んで苦しんでいたことを知って……。でも、こんなのあんまりだよ……」


泣きながらありたっけの怒りや悲しみを隼人にぶつけた。


腕組みした隼人は、押し黙ったまま、ただ私の話を聞いていた。 


暫らく沈黙が続き、私の啜り泣く声だけが部屋を占領していた。






そして、漸く落ち着きを取り戻した頃、隼人は「ごめん」とだけ言い放った。