彼と彼女と彼の事情

「そっか。彼女がジューンブライドに拘ってて、『どうしても6月がいい』って言い張ったんだ」


「そう、なんだ」


――以前、私も同じようなことを言ったっけ。


『結婚式を挙げるならいつがいい?』と隼人に聞かれ、『6月』と即答した。 

学生の身分なのに、大きく夢を膨らませて、自分のウェディング姿を想像した。

理由は、彼女と全く同じ。

“6月の花嫁は幸せになれる”という言い伝えを信じて。……皮肉なものだ。



「彼女さぁ、中学から女子校で大学までエスカレーターだったから、全く男の免疫がないらしいんだ」


「そうなんだ……」


「生まれて初めて付き合ったのが俺。結婚するのも俺。多分、エッチするのも俺が初めてのはず。彼女にとっては、何もかも“初めてづくし”なんだよ」



エッチまで初めてかどうか、分からないじゃない!と突っ込みたくなったけど、黙っておくことにした。