彼と彼女と彼の事情

玄関へ入るなり、ぐるりと周りを見渡した隼人は、極めて明るい声で話し始めた。 


「久しぶりに、我が家に帰ってきた気がするなぁ」 


リビングへ行ってからも「なんだ、半年前と全然、変わってねぇな!」と、笑う始末。


あまりに、隼人のモノに溢れた部屋を本人に見せるのは、やはり抵抗と戸惑いがあった。 


そして、何より……


今日、ここに隼人が訪れた最大の理由が、気になって仕方なかった。



着替えもせずに、サッと飲み物だけ用意し、ソファーに座る隼人の向かいに腰を下ろした。