自宅最寄り駅に到着したときには、雨足もだいぶ強くなっていた。 


タクシーで帰ろうとしたけれど、乗り場は長蛇の列だった。


その場で待つ気にもなれず、列を離れ、引き返した。

仕方なく、駅の売店でビニル傘を買い、歩いて帰ることにした。 


駅から歩いて10分。


その間も、止むことなく鳴り続ける着信音。


名前を確認し、再び、家路へと歩き始めた。


マンションまであと50M足らずのところだった。


目の前に、見たことのある車が停車している。



――…まさか!?
いや、そんなはずはない。


と、自分に言い聞かせ、そばを通り過ぎようとした。





――と、