彼と彼女と彼の事情



気が付けば……


サザンテラスのデッキまで歩いていた。


ここまで来ると、人の波も落ち着いていた。 


高島屋とサザンタワーとの間を行き交う人々は、家路へと急ぐサラリーマンが多かった。


デッキの下では、休む間もなく、灯りを放った電車が行き交う。 



ガタンゴトン、ガタンゴトン……と、リズミカルに走る電車の音。 



それに耳を傾けるように、デッキに体を預けた。