彼と彼女と彼の事情



「奈緒……なんか、辛いことでもあったのか?」



郁人の足元を見つめていた私の肩に、郁人の手が置かれた。 



思わず、ビクッと肩を竦めた。



顔を上げると…… 



私の顔を覗き込むように、体を曲げる郁人がいた。