3億円のキケンな恋

雨水と泥と化した土に足が疲れ、私はしゃがみ込んだ。


そのまま手もついて膝もついて、そしてお尻もつく。



べちゃべちゃの地面についた部分が不快だったけど、でももう立って歩く気力もなくなった。



私…やっぱりここで死ぬんだ。


誰にも見つからない所で1人寂しく息を引き取るのね…。




…そんなのイヤ。

だけど、もうどうしようもない。


でも最後に、もう一度だけ思い切り叫んだ。





「強盗さー……ん!!」







これでもう私に残された力は使いきった。


後は、辛いけど体力がなくなるまでこうしているしかない…。










そう思った時、






「オイ!
何やってんだこんな所で!」



「!!」




振り返った時に見た、ずぶ濡れの強盗さんの姿。

黒い野球帽をかぶっていて、顔だけは濡れていないみたい。



「こんな所に座り込んで、お前死ぬ気かよ!」



私のもとまで駆け寄ってくれた強盗さんに、私は思い切りしがみついた。


「…!」



と同時に身体の中から何かがこみ上げて、ドッと涙が溢れ出た。



ほら、やっぱり…強盗さんは私を助けてくれる…!!