３億円のキケンな恋

こんな山道を歩くのに、雨なんか降ってきたら益々どうしようもない。


ここはやっぱり、一度強盗さんのいる小屋に戻るのがいいかもしれない。


そう思った私は、元来た道を早歩きで戻った。



せっかく解放してもらったのに戻るなんて、何やってんだろ。

気が変わったって、またロープで縛られるかもしれないのに。


…だけど…。



ポツポツと降っていた雨が、パラパラ、そしてサーサーと降水量を増していった。



いい。
また縛られたって。

こんな雨の中を１人で、右も左もわからないまま歩くよりは………




「…あれ？
こっちで良かったのかな」



まっすぐ来た道をまっすぐ戻って来てる筈なんだけど…。


この辺りは道という道はなく、方向も角度がズレただけでとんでもなく違う方へ行ってしまう。




雨は…とうとうザーザー降りになってきた。