「捕まったわけでもない…か。
南の奴、何してんだ…」



ラジオのニュースが終わると、強盗犯はそうぼやいた。



みなみ…。

それがもう1人の強盗犯の名前なのかしら。



あんな大金持って警察から逃げてるんだもん、なかなかこっちに戻れないのかもしれないわね。





強盗犯は立ち上がり、ドアを開けて外に出ようとした。



「え、ちょっと、どこに行くの…?」



「どこも行きゃしねーよ」



強盗犯はポケットからタバコとライターを取り出して私に見せた。


そして開けっぱなしにしたドアのすぐ側に立ち、タバコに火をつけた。



あぁ、喫煙タイムですか。




ひょいと身体を傾けて、開けたドアから見える外の景色を見た。


すると、外は真っ暗だった。



陽も完全に沈み、空には星がキラキラと輝いて見える。


外から入ってくる新鮮な空気が冷たくて、ちょっぴり寒かった。



今日は山小屋で一泊かぁ…。

お風呂も入れないよ…。