3億円のキケンな恋

「あの…強盗さん…」


ずっと黙ってその様子を見ていた私は、かすれた声で言った。


それに対し、チラッと視線を向ける事で強盗犯は返事の代わりをする。



「あの、喉…渇いちゃって…」



あんパンをもらったからお腹は満たされたけど、何の水分も口にしてないとやっぱり喉は渇く。



こんな山小屋で水道なんかないとは思うから我慢はしてたけど、一応…一応言ってみた。



だけど強盗犯は何の反応もせず、私の言う事は無視した。


電波の悪いラジオのアンテナをいじり、ニュースに集中してるみたいだ。



…やっぱりダメか。


人質だもん、そんなあれこれワガママきいてもらえる筈もないよね。


私はふてくされたように、床にゴロンと横になった。



「…?」



頭もとに何か触れた。


首を上げて見てみると、クリーム色の毛布が畳んで床に置いてあった。

ランプの灯りで反射した色だから、本当にクリーム色なのか白色なのかははっきりわからないけど。